廻の家 KAI NO IE
広島県府中市 2024年
築50年以上の木造住宅を豊かな老後を過ごすための終の住処に更新するためのリノベーション。
作品名には時代が廻って主役が代わるという意味を込めています。これまでは来客をもてなす場所だった座敷を日常の居場所にし、建築主が主役となって庭と共に過ごすという暮らし方を提案しました。
写真 上田 宏
立派な日本庭園を抱く外観は、その良さを保つために木製ガラス戸以外は手を加えず補修程度にとどめています。
玄関は既存の床タイルやガラスブロック、下駄箱や敷台をそのままにして、正面に耐力壁を新設。老後に備えた手すりはオリジナルです。左手の引き戸から広縁へとつながります。
広縁を経由するLDKは開け放てば庭とつながります。既存の雪見障子を残しながら、欄間をガラスに変更。元は三つの和室だった内部は、欄間ごと間仕切りを取り除き連続感のある一つの大きな空間にしています。
夜を過ごす時間も大切に考えて、広縁を通して庭とつながるライティング計画にしました。ベース照明は天井のスリットに埋め込み、調光を最大にすると平均照度526lx確保できます。
庭園部のライトアップは周囲に影響を与えず、最小限の光で演出し、全てタイマーで管理しています。
LDK以外は最小限の変更に抑え、仏間は神棚と合わせて一部屋にしました。寝室にはスタンドを設置できるテーブルを設け、トイレは間接照明で明るくしました。